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  • 執筆者の写真米田 剛

"感謝のDX" NFTを活用したデジタル感謝状の実証と社会実装に向けて


Press Release


2023.4.17


ー 感謝のDX ー

NFTを活用したデジタル感謝状の実証と社会実装に向けて

 

Code for Aomori

                   青森大学 ソフトウェア情報学部 角田研究室

                     青森大学 社会学部       櫛引研究室



1.主旨


 Code for Aomoriと青森大学は、学生や地域住民等の社会貢献活動を対象に、NFTを活用した感謝状のデジタル化(以下、デジタル感謝状と称する)の実証実験を行いました。


 デジタル感謝状は、感謝の気持ちを多様な形で可視化できるだけでなく、個人の社会貢献履歴のコレクションとして蓄積することで、自己肯定感の向上やアイデンティティとしての自己表現にもつながります。また、学生の就職活動やビジネスの機会において、個人の社会的活動のプロフィールとしての活用など、社会貢献活動がもたらす将来的なインセンティブとしても期待されます。デジタル化にあたっては、その所有や真正性を担保するために、Web3を代表する先進技術であるNFT(注)を活用しました。


 この実証成果を踏まえ、今後、Code for Aomoriは、学内活動や地域活動などに対するデジタル感謝状の活用提案など、デジタル感謝状の社会実装に向けた支援活動(無償)を行っていく予定です。



2. 「感謝のDX」に向けて (背景と目的)


 プロボノ(職能を活かした無償の社会貢献)やボランティアなど、市民が無償で行っている奉仕活動の多くは、その成果や評価が社会的に可視化される機会は多くありません。

 日本では無償の奉仕活動を陰徳として捉える美意識もありますが、一方でグローバル化された時代に生きるデジタル世代においては、社会貢献活動も自己表現の一部として可視化するべきとの考え方もあります。


 そこで社会貢献活動の成果や評価を明確に可視化する手段として、感謝状に着目しました。

 感謝状のデジタル化により、これまで埋もれていた奉仕活動やその意味が可視化しやすくなり、その大小を問わず、時間とともに自分の社会貢献の足跡がコレクションとして蓄積されていきます。


 この蓄積は自身のアイデンティティとしての自己表現になり、自己肯定感の向上にもつながっていきます。相手からのお墨付きでもある感謝状は、社会貢献実績の証明として、学生の就職活動や入学、ビジネスマンとしてのプロフィール、企業のCSRレポートでの活用など、その人の社会的評価資本として将来的なインセンティブにもなります。


 また、デジタル感謝状の発行は、特定の第三者機関に限らず、市民のコミュニティ活動の中でいつでも誰でも自発的に行われることで、コミュニティ活動の新たなエネルギーの一つとして活用されるのが理想です。  このような感謝状の市民化による社会変化を「感謝のDX」と定義していますが、この取り組みが地域のボランタリーセクターの発展の一助になるよう進めてまいります。



3.デジタル感謝状の特徴


3.1 NFTの活用


 感謝状のデジタル化にあたっては、以下の条件を設定しました。


 ・永久保存    永久に安全に保存されること

 ・維持コスト   保存にあたり維持コストが発生しないこと

 ・安全性     第三者による複製や改ざんができないこと

 ・利用性     市民(デジタル世代想定)の誰もが利用できること

 ・所有性     感謝状の所有者が限定できること


 これらの課題は、昨今、デジタルアート等で活用されているNFT(注)を活用することで解決できます。

 NFTは第三者によるデータの複製や改ざんが事実上不可能であり、発行時にデータの所有者を限定できます。また、ブロックチェーン上に保存されるため、特定のプラットフォームに依存せず、コストをかけずに永久に保存されます。

 このようにNFTはこれまでのデジタルデータの欠点を裏返す技術で、これにより、本人だけが所有する唯一無二のデジタル化された感謝状を作ることができます。


3.2 デジタル表現


デジタル化により、文字だけでなく、画像や動画、音声など、デジタルならではの多彩な感謝の表現が可能になります。スマホに保存して、いつでも振り返ることができ、WebサイトやSNSなどの他のメディアと連動して二次利用することも可能になります。


3.3 低コスト


NFTマーケットプレイスなど無料で利用できるサービスを活用することで、高度な専門知識がなくても、誰でもコストをかけずに感謝状をNFT化することができます。



4.コミュニティによる活用


 デジタル感謝状の発行にあたっては、第三者機関による発行に限らず、市民のコミュニティの中で自主的に発行されることを想定しています。

 コミュニティの目的や特性に応じて、感謝状のほか、表彰状、参加証、証明書等での活用も考えられます。


 (想定される活用シーン)


 ・ワークショップ参加者へのインセンティブ(参加証・感謝状・表彰状)

 ・地域のボランティア活動への感謝状

 ・企業人によるプロボノ活動への感謝状

 ・学生のサークル活動、学校行事、授業等での活用(感謝状・表彰状・履修証明書)

 ・恩師(教師等)への感謝状


 ・従業員の社会貢献活動など、企業のCSR報告としての掲載

 ・SNS等のプロフィールへの掲載

 ・電子履歴書への掲載

 

 など



5.市民化に向けた実証


 市民コミュニティによるデジタル感謝状の活用に向けて、2023年3月5日に開催された「オープンデータデイ2023 in あおもり」のイベントとして、感謝のポイントを考えるワークショップと、参加者によるデジタル感謝状の発行・受領のオペレーションの実証を行いました。

 イベントには、大学生・高校生・教員・社会人など27名が参加し、全員にデジタル感謝状が贈られました。

 

5.1 デジタル感謝状の発行・受領のオペレーションの評価


 デジタル感謝状の社会実装にあたっては、ツール利用の敷居の低さが重要です。

 PC・ネットが使える20代に対し、手順書と1時間程度のレクチャーで、デジタル感謝状(NFT)の発行オペレーションは問題なくできました。 

 また、PCを持たない高校生でも、主催者から送信されたデジタル感謝状(NFT)を、後日、一人で自分のスマホに取り込むことができました。

ツールの利用性については、手順を開示すれば市民による自走展開が可能と考えられます。


5.2 感謝ポイントを考えるワークショップの評価


 身の回りで献身的に活動している人をピックアップし、その人の讃えたいポイント(魅力・能力・功績・姿勢など)を洞察・整理し、その人がより社会に認められるような感謝状をつくることを目標に、ワークショップを実施しました。

 ワークショップ実施にあたり、思考を整理するワークシートを開発し、そのワークシートにそってグループワーク方式で感謝シーンの考察を行いました。


 ワークシートの助けにより考察は進みましたが、感謝状の文章化はデザイン思考的な試行錯誤が必要になります。

引き続き、感謝ポイントの思考を助けるワークシートの研究と、文章化を助けるためchatGPTなど生成AIの活用も今後の検討課題となります。

















 (実証で発行されたデジタル感謝状)



6.社会実装に向けて


 Code for Aomori は、学生の校内活動・地域貢献活動や市民の社会参加活動など、デジタル感謝状を活用したいコミュニティ(団体・法人等)に対し、デジタル感謝状の活用提案などプロボノとして無償でご支援させていただきます。

 また、「感謝のDX」の趣旨に賛同される個人や団体等ともノウハウを共有し、ともに社会貢献活動の発展に貢献したいと考えています。

 ご関心のある方は、下記までお問い合わせください。


(問い合わせ先) 


 Code for Aomori 代表窓口 e-mail : info@codeforaomori.org


(注)NFTとは

NFTとは、非代替性トークン (Non-Fungible Token) の略で、ブロックチェーンを使って、デジタル資産を一意かつ所有権が証明できる形で表現するための技術です。

ブロックチェーンは、分散型台帳と呼ばれるデータベースで、情報改ざんが事実上不可能な仕組みとなっており、NFTは所有者や価値などの情報をブロックチェーン上に記録することで、デジタルアセット(デジタル形式で作成された財産や所有物)の真正性が証明されます。

NFTは主にデジタルアート、音楽、ビデオ、仮想アイテムなどのデジタルコンテンツの所有権や希少性の証明に活用されています。

以上


地域社会にクリエイティビティを


  Code for Aomoriは青森県のデジタル人才が集うプロボノ活動団体です。



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